小野田寛郎氏 講演会「戦後、私たちが失ったこころ」報告

公開日: : 最終更新日:2015/05/09 x.アーカイブ

青年海外協力隊東京OB会主催、” 最後の帰還兵”小野田寛郎氏 講演会「戦後、私たちが失ったこころ」が終わりました。小野田寛郎・町枝ご夫妻、小野田自然塾の皆さまへ、心から感謝します。そしてスタッフの皆さん、お疲れさまでした。

司会の挨拶を引き継いで、小野田さんの開口一番は、青年海外協力隊の創設の父であり、小野田さんの親友でもある、故・末次一郎さんの話から始まりました。

陸軍中野学校での出会いを経て、小野田さんは任務を全うするために30年間、フィリピン・ルバング島のジャングルで戦争を続け、末次さんは敗戦後の混乱の中で、日本の復興に尽くしました。それぞれの方法は違っても、日本のために戦い続けたお2人の意志の強さと行動する力に、改めて感銘を受けました。同時に、中野学校への在籍期間は数か月なのにもかかわらず、30年後に出会い直してからも強い絆でつながり続けたことにも感動しました。

帰還後、日本が物質的に豊かになったことを素直に喜ぶと同時に、戦前・戦中の価値観とのあまりのギャップにとまどったそうです。帰国後すぐ、靖国神社へ訪問することに対して、「軍国主義の復活」と非難されたことに触れ、「軍人かどうか以前に、人として、同志の霊を慰めるという当然の行為をしただけです」と語っていました。

戦争そのものに対しては否定をしない小野田さんの考え方に、その部分では共感できませんでしたが、戦争を否定するのであれば、その原因をもっと突き詰め、現在も行われている戦争と自分の生活を結びつけて考えなければならないと思います。特に日本人の持つ影響力の大きさを、もっと自覚しなければなりません。

また小野田さんは、子どもたちへの教育、特に歴史教育を見直す必要を話されていました。まずは歴史を、その時代背景とともに、様々な観点からふり返ること。ある主張を、鵜呑みにせず、排除もしないこと。

分野は違えど、青年海外協力隊のOB会に関わることで見えてきたことを発信していく重要性を改めて感じました。訓練所ではほとんど触れられない、協力隊の創設の経緯やこめられた想い。技術協力が重視される中で軽視されがちな、青年育成としての側面。OB会として、まずはこれから赴任する隊員に伝えられることがあるかもしれません。

講演会のタイトルである「戦後、私たちが失ったこころ」に対しては、「責任感や恥を知る心が失われつつある。『~します。』ではなく、『~したい。』『~だと思います。』という無責任な風潮が強まっている」という話をされたのが印象的でした。また、「自立心(自律心)」「協調性」にも触れ、自然の中での様々な体験・活動を通して、子どもたちがそれらを獲得していく過程を話されました。

質疑応答を含めると1時間半ほど休みなく話される、87歳の小野田さんの、温和な外見に秘められた意志の強さを感じました。休憩を挟んでからは懇談会も行われ、写真を求める長打の列ができていました。

運営面では、青年海外協力隊のOB会が主催する講演会として、協力隊の帰国隊員が対象であることはもちろんですが、参加者を広く募ること、なるべく初めての人に聞いてもらうこと、「青年」である20代・30代の人にたくさん来てもらうこと、などを目指して呼びかけました。

結果的に、まずは200人の会場が満席になったことに安堵しました。内訳も、申し込み時のアンケートによると、協力隊の帰国隊員が半数弱、ほとんどの方が小野田さんの講演会は初めてで、平均年齢は30代と、ほぼ当初の目標どおりになりました。広報にご協力いただいた皆さん、インターネットなどで情報を転載していただいた方々、本当にありがとうございました。

小野田さんが、来場者からの質問に答え、「戦前の歴史観、そして戦後の歴史観。自分の頭をまっさらにして、その両方を冷静に比較し、何が正しいのかを自分で考えようとする人たちが、特に若い世代に増えている。私はそういう人たちに期待しています」と語った言葉に、とても励まされました。

おそらくこの報告も、自分のフィルターで、小野田さんの考えに違う解釈をしている部分も多くあると思いますが、来場してくれた友人たち、また関心を持つ人たちと意見を交換しながら、少しずつ考えを深めていきます。貴重な機会に感謝です。

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